理事長挨拶

平成29年度第1回臨時総代会 理事長挨拶(平成29年8月)

理事長 及 川 正 和
 本日ここに平成29年度第1回臨時総代会を開催するにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
 総代皆様方には、平素より本土地改良区の運営にあたり、特段のご理解と力強いご支援、ご協力をいただいておりますことに、衷心より厚く御礼と感謝を申し上げます。
 
 本日の総代会には、公務ご多用中にも関わらず貴重な時間を割いていただき、奥州市長小沢昌記様の代理として副市長及川様、金ケ崎町長髙橋由一様、岩手県県南広域振興局農政部農村整備室長千葉様のご臨席をいただきましたことに厚く御礼申し上げますと共に、本土地改良区運営にあたり、特段のご指導、ご高配を賜っておりますことに、心から感謝を申し上げます。
 
 
 さて、本日の総代会議案であります、平成28年度の決算概要並びに重点取り組みについて申し上げます。
 平成28年度決算につきましては、平成24年度決算から総代皆様方のご承認をいただき貸借対照表と正味財産増減計算書で報告することといたしております。
 まず始めに、平成28年度の単年度収支、所謂繰越金を含まない金額では82,549,937円のプラスという成果になっております。このプラスに、平成27年度繰越金74,210,203円を加えた156,760,140円がプラス総額となり、対前年度比19,467,862円のプラスとなります。これが、決算の概要であります。
 
 決算の主要な点について申し上げます。
 一、平成28年度当初予算は1,297,724千円であり、内訳といたしまして一般会計696,013千 円(53.6パーセント)、通過金特別会計423,306千円(32.6パーセント)、維持管理特別会計 178,575千円(13.8パーセント)で業務並びに事業運営を進めてまいりました。この中で、通過金特 別会計は財務運営上ではプラスもマイナスも生じないことから、再生基本構想に基づき一般会計と維持管理特別 会計を合わせた金額を正味予算として総代皆様方にご説明をいたしております。
 二、胆沢平野土地改良区を支える組合員の動向につきましては、事業報告にありますように対前年度比123名の減でありますが、内、農地集積により76名の減(62パーセント)が示すように、担い手の高齢化の進行や基盤整備事業の推進により、経営体への農地集積が加速度的に進んでおります。
 三、本土地改良区の二大収入源の一翼を担います賦課団体としての自主財源について申し上げます。
はじめに、一般賦課金につきましては、現年度収入額286,249,110円、率にして99.8パーセ      ントと前年度収納率を維持することができました。一方、過年度滞納一般賦課金につきましては、1,  155,580円の収納額(46.5パーセント)にとどまっておりますが、滞納者の中に納入意思のない多額の固定滞納者がおりますことから、現在、裁判で係争中であります。今後とも、滞納者の生活状況に配慮し、これまで最も大きな成果を生み出しております分割納入を進めてまいりたいと考えております。もう一方の自主財源であります施設使用料13,391,570円と浄化槽の排水使用料55,625,445円。この二つの使用料を合わせた金額は69,017,015円となっており、一般賦課金の収入額に対し24.1パーセントと大きな収入源となっております。排水使用料対象浄化槽は前年度に対し16件減の1,918件となっており金額では389,040円の減でありますが、安定した収入源となっております。
 四、平成28年度の主要な積立金について申し上げます。冒頭申し上げましたように、平成27年度繰越金74,210,203円を加えた総額156,760,144円の中から、基本財産の維持管理積立金が15,211,090円不足しておりましたことから、この金額を積立いたしておりますし、総代・役員退職積立金に4,601,360円の積立、減価償却積立金に6,148,329円を積立いたしております。
 
 決算の主要な点についてご報告申し上げましたが、平成25年度から始まりました再生基本構想アクションプログラムに基づく4年間の平均単年度収支額は98,197千円程となっております。
 これも偏に総代皆様方の深いご理解と力強いご支援ご協力の賜物であり、加えて、運営理念であります「仕事は組合員のために」を肝に銘じ、日々の業務に真摯に取り組んでおります職員の、弛まぬ努力の結果でもあります。衷心より厚く御礼と感謝を申し上げます。
 
 次に、時流に即した運営指針となる胆沢平野土地改良区再生基本構想中期におけるアクションプログラム(平成25年度~28年度の4年間)の結果について申し上げます。
  • 将来にわたり活力ある土地改良区づくり
 はじめに健全運営の羅針盤となる財政シミュレーションでありますが、目標額プ ラス7,233千円に対し385,554千円のプラスとなっております。この中で大きな額を占めましたのは、平成26年度からはじまりました農地維持支払交付金事務受託料105,000千円の増、換地及び確定測量の直営実施による外注費の減94,000千円、国営造成施設管理体制整備促進事業の事業延長による54,000千円の増が挙げられます。
 
 
 二点目として、平成25年度の複式簿記会計の本導入により本土地改良区の水利施設を含む全ての保有財産を金額で示すことができました。同時に減価償却を踏まえ将来展望に立った維持管理計画に活用でき、維持管理費の軽減に結びついております。
 
 
 三点目として、職員30名体制の確立でありますが、この4年間、2名の退職と3名を新たに採用し30名体制を確立しております。その土台として、更なるOA化を進めるため、平成25年度に各課のデータを保存するファイルサーバー1台と平成26年度に賦課金・施設及び排水使用料徴収のシステムサーバーを1台導入し事務の迅速化・効率化を図っております。
 
 
 四点目として、時流を踏まえた組合員支援サービスの創造に向けて、新分野である農業経営支援策として、IACS(胆沢平野アグリカルチュアル・クラウドシステム)推進室を平成28年度に設置し、農業関連情報を含めた経営支援システムを平成29年度より無料提供しており、現在59経営体が活用しておりますが、その中でシステムの利便性が強く求められております。去る7月24日には、平成29年度第4回奥州市認定農業者等審査委員会の席上においてIACSについての説明をさせていただいたところですが、鹿児島県からの問い合わせや、福島県の営農組合組織が研修に来る等、関心の高さを実感しておるところであります。
  • 水を活かす施設の管理
 平成26年度の胆沢ダムの本格供用開始に伴い、従来の1.78倍の水利権量で絶えることのない安定した農業用水の運用開始に合わせ、用水管理の再編として「農業用水安定供給計画書」を策定し、これに基づき用水管理を始めております。この開始により、用排水管理従事日数では139日の減、時間も1,000時間程の減となっており、管理軽減率では51パーセント、約半分に軽減しております。加えて、農業用水不足の苦情件数は「農業用水安定供給計画書」の活用により、平成24年度石淵ダムからの供給時の苦情件数120件に対し平成26年度は100件の減となっております。    
  • 農を支える生産基盤づくり
 平成25年度、ほ場整備事業の計画調査地区は4地区、563ヘクタール程でありましたが、平成28年度末では10地区、1,632ヘクタール程となり、290パーセントの伸びとなっております。この要因といたしましては、平成26年度から経営体に農地を85パーセント以上集積・集約化しますと事業費の最大10パーセントの促進費が交付され、事業費負担が実質0円となること。もう一点は、胆沢平野管内でも農業の担い手の高齢化が加速度的に進む中で、将来にわたり地域農業・農村を守らなければという強い思いが、積極的な取組み動機に結びついていると思料いたしております。
 
 平成29年度運営方針の一つであり、組合員からの要望が高い、「一般賦課金の見直し」案について申し上げます。
一、一般賦課金の見直しにあたりましては、一般賦課金を構成しております事務費2,550円と維持管理費550円の内、事務費分の値下げを原資といたしました。
 
二、値下げに当たっての財政見通し
 平成21年度にスタートいたしました胆沢平野土地改良区再生基本構想の着実な進捗を精査した結果、以下 に掲げる5項目を根拠に値下げ額案を策定いたしております。
一、単年度収支と前年度繰越金の見通しでは、過去5年間の単年度収支平均額は109,000千円程であり、このプラス金額から一般賦課金一割削減額28,500千円を差し引いても、今後5カ年の単年度収支平均額で54,000千円程となり、50,000千円を超える額がプラスとして見込めます。また、前年度繰越金では過去5年間の平均額は80,000千円程で推移しており、今後5カ年を見通しても73,000千円程が確保できます。
 
二、水利施設維持管理費のローリング幅が想定の範囲内で安定しております。過去5年間の実績平均額は168,146千円であり、今後5カ年の見通しによる平均額は180,091千円と7.1パーセントの増とはなりますが、維持管理計画書の上限218,000千円の内数に収まります。
 
三、本土地改良区の体力を示す財政調整基金を始め、職員退職積立金、総代・役員退職積立金、ほ場整備地区維持管理支援基金、小用排水路維持管理基金、事務所営繕積立金の主要6科目の積立がほぼ完了しております。積立金合計額約1,135,938千円となっております。
 
四、職員人件費の伸び率は、平成30年度を指数としたとき平成34年度の伸び率は約1.1パーセントとなります。この間、1名の定年退職者と2名の新規採用者の変動がありますが、その後、8年間は定年退職者がいないことから新規採用者もない予定としております。
 
五、運営の根幹となります一般賦課金の収納率につきましては、過去5年間の平均収納率は99.6パーセントと高い収納率を維持しており、加えて、納付をいただく耕作者も経営体の誕生等により全納が増加しておりますことから、急激な収納悪化はないと思料いたしております。
 
 以上の5項目は、胆沢平野土地改良区の財政運営の根幹をなすものであり、この5項目の見通しが今後とも大きく変動する要因は現状においては見当たらず、平成30年度から一般賦課金の一割値下げは妥当な金額と考えております。
 
 
今年度の運営方針の経過について申し上げます。
改めて、今年度の運営方針は次の四つであります。
一、「基盤整備事業の着実な推進に向けた継続支援」
二、「時流に即した経営体支援」
三、「ヒューマンエラーの撲滅」
四、「一般賦課金の見直し」     であります。
 
 一つ目として「基盤整備事業の着実な推進に向けた継続支援」につきましては、胆沢平野管内の今年度県予算 も、平成28年度補正予算と合わせ対前年度比336パーセント増の3,303,000千円でありますことから、事業主体であります岩手県の事業推進が円滑に進むよう、職員が各委員会に出席し説明に当たっている回数も、7月現在で52回、延べ82名に及んでおり18.3パーセントの増員となっております。委員会の会議の中では、法人への集積、事業費負担、事業実施期間等が主要な検討事項となっておりますが、各地区とも一日も早い着工、完工に向けて取り組まれております。
 
 二つ目として「時流に即した経営体支援」につきましては、7月時点でIACSのユーザーが2経営体の増となっており、着実な成果に結びついております。
 
 三つ目として「ヒューマンエラーの撲滅」につきましては、4月に係長・主任研修を実施し、マネジメント・サイクルを活用した報告・連絡・相談を徹底するよう指導し、現在までヒューマンエラーは発生しておりません。10月には課長補佐に対し研修を実施する計画です。
 
 四つ目の「一般賦課金の見直し」につきましては、前段で申し上げた通りであります。
今後とも、今年度方針の着実な成果に向けて役職員一丸となって「仕事は組合員のために」を肝に銘じ、取り組んでまいる所存でありますので、総代皆様方の温かいご理解と力強いご指導、ご協力をお願い申し上げます。
 
 
 さて、農業農村を取り巻く情勢は、平成25年度から27年度にかけて政府が打ち出した「第一弾の農政改革」であります。この中では平成25年12月の農地中間管理機構の設置による、農地の大規模集約化に貢献する役割を担わせております。また、農業者の所得に関連して政府は、平成30年度から主食用米の生産調整の廃止と生産調整に協力してきた農家への交付金の取りやめ、逆に、飼料米の生産に対する交付金水準を平成26年度に引き上げております。
 「第二弾の農政改革」として、昨年の11月、農業競争力強化プログラムがTPP対策と規制改革という背景のもとで策定されております。今年の5月には、ため池等の水利施設の突発事故に対応した土地改良法の改正案が国会で成立しております。特にも全農購買事業の見直しによる生産資材価格の引き下げが大きな話題となったものであります。
 こうした新たなステージを迎えた農政改革・土地改良制度の見直しと言った環境変化を追い風とし、政策に柔軟に対応できる強固な生産基盤を構築していくことが重要であります。そのためには、しっかりとした予算が必要であります。
 ご案内のように、7月20日、平成30年度予算の概算要求基準が閣議了承され、予算編成の議論が本格的に始まりました。この中で、5年連続で歳出上限の設定が見送られております。このことから、各省の要求総額は1,000億円を超えるのではないかと言われております。私共土地改良関係団体も農林水産省及び全国土地改良事業団体連合会と足並みを揃えて、今年4月より財務省並びに本県選出の国会議員の先生方に土地改良関係予算の確保について、要請活動を行っておるところであります。国の予算をしっかり確保できませんと、県・市・町の予算確保が絶望的となるからであります。国の予算を着実に確保し、現在、予算復活により活気付いております基盤整備事業を始めとする各種事業の円滑な推進を図って参る所存であります。
 
 最後になりましたが、本日は平成28年度事業報告、一般会計収支決算を始め10議案をご提案申し上げております。詳細につきましては、ご提案の折りご説明申し上げますので、充分なるご審議の上、原案の通りご承認賜りますようお願い申し上げ、開会にあたりましての挨拶といたします。    
 
 
平成29年8月18日
  胆沢平野土地改良区
                   理事長 及 川 正 和

平成29年通常総代会 理事長挨拶(平成29年3月) 

 本日ここに、平成29年通常総代会を開催するにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
 まずもって、総代皆様方には、日頃より胆沢平野土地改良区の運営にあたり、特段の温かいご理解と力強いご指導ご協力をいただいておりますことに、衷心より厚く御礼と感謝を申し上げます。
本日は、公務ご多用中にも関わらず、貴重な時間を割いていただき、奥州市長小沢昌記様、金ケ崎町長髙橋由一様、岩手県県南広域振興局農政部農村整備室煙山室長様のご臨席をいただいておりますことに、深く感謝を申し上げますと共に、本土地改良区の運営にあたり特段のご指導、ご高配を賜っておりますことに、心から厚く御礼と感謝を申し上げます。
 また、昨年8月に本県沿岸に初めて上陸いたしました台風10号の豪雨災害で甚大な被害を受けられました岩泉町の、一日も早い復旧に向けまして、収穫祭で総代皆様方を始め来場者の皆様方、そして役職員皆様方からの心のこもった義援金を岩手県並びに小本川土地改良区佐々木理事長様の立会のもと、岩泉町伊達町長様へ寄付させていただきました。皆様方のご支援に心から感謝を申し上げます。
 さて、平成29年度は本土地改良区といたしまして、胆沢平野土地改良区再生基本構想の集大成となります後期2年を迎えると共に、農政の大転換ともいうべき平成30年度問題を目前にしておりますことから、これら諸情勢を踏まえた運営方針並びに予算編成について申し上げます。
 ご承知のように、再生基本構想は平成21年度から平成30年度までの10年間にわたり、全国に冠たる土地改良区創りを目指し、
 
一、「常に目指す理想(ビジョン)」
二、「現実の概念(コンセプト)」
三、「実現するための道筋(シナリオ)」
 
を基に、胆沢平野土地改良区運営の基盤を支える人材の育成と、財政の健全化を図っておるものであります。この構想により、国の政策の改廃や施策の変更、土地改良に起因する組合員のニーズ(要望)に対応可能な人材育成と財政の健全化に取り組んでおります。
 特にも、平成29年度農業農村整備関連予算は、国、県ともに平成28年度補正予算と平成29年度当初予算を合わせ、大幅な予算削減前の平成21年度の水準まで復活することができました。同時に、昨年の8月、国におかれましては、「新たな土地改良長期計画」が1年前倒しで策定されております。その中では、今後の農業農村のあり方として、単に農業農村や水利施設を次世代に引き継ぐだけではなく、整備効果を最大限に発揮し、農業所得の向上をもたらす、強い農業の牽引が求められております。
この背景を踏まえ、平成29年度は、四つの運営方針に基づき進めてまいります。
 
運 営 方 針
一、「基盤整備事業の着実な推進に向けた継続支援」
 胆沢平野土地改良区管内では、ほ場整備の計画調査地区10地区、本事業実施地区9地区、中山間地域総合整備地区1地区、合わせて20地区で取り組まれております。
これらの着実な事業推進は、平成30年度問題であります生産調整の廃止と米の直接支払交付金制度の廃止を目前に、組合員の持続的な農業経営に不可欠であり、同時に、本土地改良区の賦課金の着実な徴収と換地業務や確定測量の受託確保、加えて、水利施設の維持管理の軽減に資するものであります。
 この着実な推進に向けた継続支援には、事業主体であります岩手県、計画調査費など多大なご支援をいただいております奥州市、金ケ崎町、そして各地区の委員会との連携を図りながら取り組んでまいりますので、本日ご臨席を賜っておりますご来賓の皆様方のご指導、ご高配を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 
二、「時流に即した経営体支援」
~胆沢平野版農業クラウドシステムによる経営支援の本格スタートの年~
胆沢平野版農業クラウドシステムにおいても、平成30年度問題、更には、農業が業種から業態に変化する中で、それを補完する農業政策や施策を見据えた、一歩先を行く農業経営支援として、営農計画支援システム、営農管理システム、営農分析システムの三つのシステムを活用する仕組みであります。
このシステムを活用し、多様な営農目的に即した長期的な展望に立った戦略的営農計画を経営者自らが立案することで、経営方針の決定と農業所得の向上に寄与することを目的とするものであります。
現在、継続利用のサポート申込みをいただいております57経営体をはじめ、本格運用により利用される方々へ、このシステムが定着し成果を確認するためには、一定の期間が必要であり、この期間は、国の農業政策期間がほぼ5年に設定されておりますことから、これに合わせ五ケ年計画で実施することとし、平成29年度は、本格スタート元年と位置付けて取り組んでまいりますので、総代皆様方の力強いご支援をお願い申し上げます。
 
三、「ヒューマンエラーの撲滅」
日々の業務を着実に目標実現に結びつける職員の人材育成は、胆沢平野土地改良区再生基本構想のコンセプト(基本理念)であります「仕事は組合員のために」を着実に実践する上で不可欠であります。特にも、再生基本構想の七つの柱の一つであります「職員のスキルアップ(仕事の幅を広げる技量)とクリエーティブ(早期の目標達成)な業務遂行」と、中長期アクションプログラムにおける「管理職の自己啓発とコミュニケーションによる職場環境づくり」を推進することとし、更なる人材育成及び業務環境の整備を強化してまいりました。
しかしながら、この取り組みの陰で、コンセプトに合致しないヒューマンエラーが発生したことも事実であります。この事実を真摯に受け止め、各課を職務分掌する管理職、それに準ずる補佐、主査及び係長、主任の業務遂行能力が重要である事は言うまでもありません。
特にも、課長と主事職の中間に位置する係長、主任においては、本土地改良区組織では中間管理職であると同時に将来の管理職候補でもあります。この中間管理職がしっかりと機能しなければ、組織は上下の連携が図れず、やがて、小さなミスから重大なミスへと繋がり、負の連鎖が発生することとなります。
再生基本構想に掲げるオールマイティー(各業務に精通する知識と業務能力)な職員を育成するというビジョンに対し、その根本となる職員の職責能力を大きく発揮させることは「本人の強い意識」がなければ 、不可能なものとなります。このことから、組織の中核となる係長、主任の役割について再認識させるため、職責について改めて研修の場を設け、本土地改良区の運営手法でありますマネジメントサイクルの活用を徹底し、ヒューマンエラーの撲滅を図ってまいります。
 
四、「一般賦課金の見直し」
本土地改良区の一般賦課金は、平成29年度まで10アール当たり3,100円であり、内訳として運営事務費2,550円、維持管理費550円となっております。
この賦課金は、平成元年に経費の健全化の面も考慮し10アール当たり200円の引き上げが行われて以来、29年間にわたり据え置いてまいりました。この間、平成14年度に完工いたしました事務所移転新築費に393,900,000万円が大きな支出となっております。また、平成21年度より十ケ年の長期計画であります胆沢平野土地改良区再生基本構想に取り組み、財政シミュレーションを運営の羅針盤として財政の健全化を進めてまいりました。
平成21年度当初の平成30年度迄の財政見通しでは、マイナス580,083,000円であり、この金額を394,208,000円に圧縮する財政シミュレーションを作成いたしました。以来、今日まで様々な改善や制度の継続、改廃等により、平成28年度時点では、平成30年度財政見通しは、総代皆様方と組合員の温かいご理解と力強いご支援ご協力のお蔭で、マイナス見通しを解消し、プラス50,000,000円を超える額を想定することができますことから、一般賦課金の事務費の見直しを進めるものであります。このため、以下に掲げる前提条件となる項目の検討をいたすものであります。
一、収入源
一、賦課金収納額及び収納率
二、換地及び確定測量業務の受託料
三、施設使用料、排水使用料
四、多面的機能支払交付金事務受託等の受託料
一、支出項目
一、水利施設等の維持管理費
二、国営造成施設管理体制整備促進事業費
三、基幹水利施設管理事業費
四、職員人件費
五、各種積立金の充足率
 
以上、四大運営方針に基づき、着実な業務運営を進めてまいる所存であります。
次に、運営方針を踏まえた、平成29年度予算編成方針について申し上げます。
予 算 編 成 方 針
平成29年度の予算編成につきましては、胆沢平野土地改良区再生基本構想の総仕上げとなる後期2年となりますことから、新たな企画には取り組まず、通常の業務運営を進めることといたします。
財政運営の羅針盤であります財政シミュレーションにおきましては、中長期アクションプログラム作成時(平成24年度)に、国・県の政策・施策の改廃は、予測不可能な点がありましたことから、不確定なものは財政シミュレーションには組み入れておりませんでした。このため、平成29年度の財政シミュレーションでは6,605,000円のマイナス見通しとなっております。
このことを踏まえ、平成29年度の予算編成にあたり、アクションプログラムに含まれておりませんでした、平成27年度より継続となりました国営造成施設管理体制整備促進事業の補助金と法制化されました多面的機能支払交付金制度の事務受託料を財政シミュレーションに加えることにより、6,605,000円のマイナス見通しをプラスに転じ、財政運営の更なる健全化に向け、平成29年度の運営方針に基づく着実な業務が遂行できる予算編成を行ったものであります。
それでは、平成29年度予算概要について申し上げます。
平成29年度当初予算総額は1,549,455,000円であり、内訳として一般会計680,336,000円、維持管理特別会計167,253,000円、通過金特別会計700,866,000円を計上いたしております。
平成28年度当初予算に対し金額ベースで250,866,000円の増となっておりますが通過金特別会計の278,730,000円が大きなものとなっております。
この1,549,455,000円の予算に基づき確実な予算執行を進めてまいる所存であります。
 
去る2月16日、東京フォーラムの席上におきまして、「平成28年度農業農村整備事業広報大賞」の最高賞であります大賞を受賞いたしました。この賞は、農村振興の重要性や社会的意義について広く理解していただくための地域活動や広報活動が優れている団体へ贈られるもので、全国45団体の応募の中から胆沢平野土地改良区が再生基本構想の下に取り組んでおります、「新たな水文化の創造」として、胆沢ダムの本格供用開始を契機に、イメージソングであります「いさわへいやの唄」と創作ダンスの制作、収穫祭の継続的開催、更には、円筒分水工に設置いたしました「命水の大噴水」による水利施設のPR等、一連の活動と取り組みが高く評価されたものであります。
これも偏に総代皆様方の温かいご理解とご協力の賜物であり、心から厚く感謝を申し上げる次第であります。
 
こうした中で、昨年は、長年続いてまいりました生産調整(減反)の廃止が2018年に迫る中、コメ市場に変化が出始めております。豊作にも関わらず、中食(コンビニ弁当等)や外食で使う業務用のコメが不足している現状が報道されました。そこには、飼料用米への転作推進やコシヒカリ等の高級ブランド米に、コメの消費の減少が影響し、安いコメが業務用として多用され、価格水準を切り上げております。このため、ブランド米と価格がほぼ並び「一俵の格差」が縮んでおります。この変化は「一俵いくら」から「十アール当たりいくら」と、変化していることを示していると言われております。この変化を前向きに捉え、本土地改良区といたしましても、ほ場整備や多面的機能支払交付金制度をフルに活用し、生産性の追求に向けた生産基盤の整備に、役職員一丸となって「仕事は組合員のために」を肝に銘じ、取り組んでまいる所存でありますので、総代皆様方の温かいご理解と力強いご指導、ご協力をお願い申し上げます。
 
最後になりましたが、本日は平成29年度一般会計収支予算案、維持管理特別会計収支予算案をはじめ、24議案をご提案申上げております。
詳細につきましては、ご提案の折りご説明申し上げますので、充分なるご審議の上、原案通りご承認賜りますようお願い申し上げ挨拶といたします。
 
平成29年3月22日
                 胆沢平野土地改良区
                   理事長 及 川 正 和

平成28年度第1回臨時総代会 理事長挨拶(平成28年8月)

 本日ここに平成28年度第1回臨時総代会を開催するにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
 総代皆様方には、平素より本土地改良区の運営にあたり、特段のご理解と力強いご支援、ご協力をいただいておりますことに、衷心より厚く御礼と感謝を申し上げます。
 
 本日の総代会には、公務ご多用中にも関わらず、大変貴重な時間を割いていただき、奥州市長小沢昌記様の代理として副市長江口様、金ケ崎町長髙橋由一様の代理として副町長小野寺様、岩手県県南広域振興局農政部農村整備室長煙山様のご臨席をいただいておりますことに厚く御礼申し上げますと共に、本土地改良区運営にあたり、特段のご指導ご高配を賜っておりますことに、深く感謝を申し上げます。
また、今年4月に発生いたしました熊本地震により被災されました多くの方々に心からお見舞いを申し上げます。農林水産省による農地被害は300億円程と伺っており、一日も早い復旧に向け役職員並びに皆様方からの心のこもった義援金は土地連を通して被災地に送らせていただきました。
皆様方のご支援に心から感謝を申し上げます。
 さて、本日の総代会議案であります、平成27年度の決算概要並びに重点取り組みについて申し上げます。
 まずはじめに、平成27年度決算につきましては、これまで通り貸借対照表と正味財産増減計算書での説明とさせていただきます。
 また、平成27年度の単年度収支、所謂繰越金を含まない金額では74,973,776円のプラスという成果になっております。
 これに平成26年度繰越金62,318,502円を加えた137,292,278円がプラス総額となっております。これが決算の概要であります。
 
 決算の主な点について申し上げます。
一、役員、総代の新体制での取り組みについてでありますが、平成27年度は総代皆様方ご承知のように、第   20期理事、第21期監事、そして第17期総代が平成27年2月8日の総代選挙で当選されており、2月18日の平成26度第2回臨時総代会において理事、監事が選任をされ、同月24日の第14回理事会で互選が行われ、新たな役員、総代体制がスタートいたしましたことから、平成27年度の運営は、胆沢平野土地改良区再生基本構想に基づく事業運営と財政シミュレーションに基づく財政運営を進めて参りました。
 
二、平成27年度当初予算は16億722万7千円であり、この内訳といたしまして通過金特別会計7億3千4百29万1千円(45.7%)、一般会計6億9千4百49万6千円(43.2%)、維持管理特別会計1億7千8百44万円(11.1%)となっております。
 この三会計の中で、通過金特別会計は換地清算金やほ場整備事業の償還金等であり日本政策金融公庫より土地改良区が事業を行う組合員に代わって借入し、借入契約に基づき、当該組合員の滞納に関わらず支払義務が発生するものであり、財務運営上ではプラスは生じません。このことから、胆沢平野土地改良区の再生基本構想の中では通過金特別会計を除いた一般会計と維持管理特別会計を合わせた金額を正味予算として総代皆様方にお話しを致しております。
 
三、土地改良区を支える組合員の動向についてでありますが、事業報告にありますように農地集積により84名の減、対前年度比では59名の増となっており、ほ場整備等により担い手集積が進んでいることが明確に示されております。
 
四、本土地改良区の二大収入源の一つであります賦課団体としての自主財源について申し上げます。
 はじめに、賦課金につきましては、現年度収納率99.8%まで高めることができました。同時に懸案事項であります過年度滞納賦課金、所謂、固定的滞納者につきましては再生基本構想に基づく組合員との約定書による分割納入が滞納徴収額の82.3%、4,641,226円の徴収額となっており、滞納者の厳しい生活状況を加味したギリギリでの納入を可能としております。今後とも、この手法を継続し滞納解消を進めて参ります。
もう一方の自主財源であります施設使用料15,790,860円と公共施設を除いた浄化槽の排水使用料70,773,860円があります。この二つの使用料を併せた金額は86,564,720円であります。平成27年度末の排水使用料対象浄化槽は1,932件となっており、最少コストで安定した大きな収入源となっております。
 
五、平成27年度の各種積立金について申し上げます。
冒頭申し上げましたように、平成26年度の繰越金62,318,502円を加えた総額137,292,278円の中から「毎年度積立金」として、13,002,766円、内訳として職員退職積立金、総代・役員退職積立金、公用車維持積立金、事務所営繕積立金であります。また、「上限を決めての積立金」として5,057,707円、内訳として財政調整基金積立金と小用排水路維持管理基金の利息、ほ場整備地区維持管理支援基金の積み戻し分と利息、維持管理積立金となっております。
 以上、決算の主な点についてご報告申し上げましたが、過去4年間の単年度収支を見ましても平均で1億1千万円のプラスを確保できております。
 これも一重に総代皆様方の温かいご理解と力強いご支援、ご協力と組合員の負託に全身全霊で取り組んでおります職員の弛まぬ努力の賜物によるものであります。衷心より厚く御礼と感謝を申し上げます。
 この決算結果と、時流を捉えながら大きな成果を生み出して参りました胆沢平野土地改良区再生基本構想の最終年度である平成30年度を見据え、多大なご協力をいただいております組合員の皆様方に対し、恒常的な還元策を検討する必要があると考えておるところであります。
 
 平成28年度の運営状況につきまして、まずはじめに、土地改良区の最大の使命であります農業用水の安定供給について申し上げます。総代皆様方もご承知のように、胆沢ダムの本格運用が開始されました平成26年度以降は、平成6年の大旱魃に匹敵する昨年度の少雨でも、農業用水を安定的に供給できており、ほぼ農業用水の確保は心配がないと考えておるところであります。
 反面、本土地改良区の農業用水路、除塵機、水門等の施設管理の重要性が今後とも問われることとなります。こうした点を踏まえ、7月までの管理状況をみますと農業用水の増量要望につきましては「ほ場整備地区」で8件が地区管理の制水弁の開閉操作ミスによるものでありました。また、未整備地区では3件あり、除塵機の付いていない取水スクリーンのゴミ詰まりでありました。この問題解決に向けましては、来年度から代掻き期を重点的に巡回点検回数を増やし、減水の起きないよう努めて参ります。
 
次に、重点目標に掲げました「基盤整備事業の加速的推進」と「胆沢平野版農業クラウドシステムの取り組み」状況についてご報告申し上げます。
「基盤整備事業の加速的推進」につきまして、事業実施地区の中でも、これから面工事が本格的に推進されます荻ノ窪地区は、平成27年度、国のTPP対策補正予算990億円が確保されたことと、農村整備室長煙山様のご配慮により昨年度の約6倍の29.1ヘクタールの施工面積となっており改めて感謝を申し上げます。
特にも、今年度は南方地区、真城南地区、真城北地区が事業採択となっており本土地改良区といたしまして、円滑な事業推進に向け工事前の権利関係や登記及び耕作状況について再確認する従前地再調査に取り組んでおるところであります。同時に、胆沢平野管内で38番目となるほ場整備地区として、前沢区上野原地区の促進委員会立ち上げに向けて、地元の皆様方と一体となり取り組んでおるところでもあります。
 「胆沢平野版農業クラウドシステムの取り組み」につきましては、平成29年度の本格稼働に向け50経営体(個人担い手含む)の利用者獲得を目標に取組んでおり、8月15日現在57経営体となり114%の達成率となっております。
 今年度目標である70経営体へのモニタリングに対しましては、現在90経営体にシステム紹介を行っておるところであります。
 三つのシステムの内、
「営農計画支援システム」は、組織立ち上げ計画中の地区において、経営をシミュレーション出来る事から積極的に活用されております。
 「営農管理システム」は、法人組織において作業日報や減価償却費の管理がし易い事から利用率が高くなっております。個人経営体では、経営実態の把握や記録のデータ化による利便性の向上に活用されております。
 このように、組織形態や経営方針等に応じて多様に活用されておりますことは、時流として「すべての組合員に利用いただけるシステム」構築が着実に進んでいることを裏付けるものであります。下期に向けては、三つ目のシステムである「営農分析システム」を経営の自己分析を支援する上からモニタリングを継続し、併せて農業関連情報の提供に関する検討を進め、より組合員に役立つシステムの構築に取り組んで参ります。
 幹線水路の老朽化に伴う水漏れによる湿田対策につきましては、今年度、幹線用水路37路線135キロメートルの漏水調査を実施いたしました。その結果二路線96箇所の漏水が確認できました。今年度予算は370万円を計上しておりますが、限られた予算でありますので、周辺農地及び宅地への影響や造成年度の古い箇所を優先的に補修出来るよう、年次計画を策定し今秋より工事に着手して参ります。
 
 私共役職員は、再生基本構想のコンセプトである「仕事は組合員のために」を肝に銘じ、土地改良区運営に対する矜持を持ち、日々研鑽を積み重ね、ようやく吹き始めた土地改良を後押しするフォローの風を最大限に活かしながら、更なる健全運営に邁進して参る所存であります。
 
 さて、9月から国、県、市、町も来年度予算編成並びに補正予算が協議される時期となりますが、10アール当たり7,500円の経営所得安定対策交付金が平成29年度で終了されますことや、アメリカの大統領選挙を11月に控え、TPPも正念場を迎える等、農業農村を取り巻く環境は一段と厳しさを増しております。
このような状況にあっても、持続的農業に日夜努力しております組合員の皆様方が大勢を占めており、こうした組合員の負託に応えるためにも、農業生産の生命線であります農業生産基盤の整備は不可欠であり、そのためには農業農村整備予算の一日も早い完全復活による、予算の裏付けが重要であることは申すまでもありません。
 
折しも、此のたびの参議院選挙におきまして、私共土地改良の代表であります進藤かねひこ先生が、9年越しの捲土重来を果たし、得票数182,406票を獲得し国会議員に当選されました。これも一重に総代皆様方のこれまでにない特段の力強いご支援とご協力の賜物によるものであります。衷心より厚く御礼と感謝を申し上げます。
 私共土地改良区が日夜取り組んでおります農業農村の振興に向けた農業農村整備予算の確保に対する期待は大きく、その実現に進藤かねひこ先生がしっかりと取り組んでいけるよう支えて参る所存であります。
 
 最後になりましたが、本日ご提案申し上げております議案は、平成二十七年度決算をはじめ、補正を含め15議案でございます。
 詳細につきましては、ご提案の折りにご説明申し上げますので、慎重なるご審議の上、全議案原案の通りご承認いただきますようお願い申し上げ、ご挨拶と致します。
 
    
平成28年8月19日
                 胆沢平野土地改良区
                   理事長 及 川 正 和
 
                                                      

平成28年通常総代会 理事長挨拶(平成28年3月)

 本日ここに、平成二十八年通常総代会を開催するにあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
総代の皆様方には、日頃より本土地改良区の運営にあたり特段のご理解と力強いご支援温かいご協力をいただいておりますことに、衷心より厚く御礼と感謝を申し上げます。
本日は、公務ご多用中にも関わらず、大変貴重な時間を割いていただき、奥州市長小沢昌記様、岩手県県南広域振興局農政部農村整備室煙山室長様のご臨席をいただいておりますことに厚く感謝申し上げますと共に、本土地改良区運営にあたり格別のご高配を賜っておりますことに、深く感謝申し上げます。
まず始めに、前回の第一回臨時総代会で生母地区遠藤敏総代からの一般質問でございました白山揚水機場の地下埋設された電気ケーブルの部分に水が溜まっており、漏電の恐れがあることから布設替えについてのご指摘につきましては、昨年十二月に電柱から直接揚水機場に引き込む移設工事を完了しております。
黒石地区の菅原宰総代からの質問でございました二渡地区の白石沢川排水路の土砂浚渫についてのご指摘につきましては、昨年十月二十九日から十一月二十五日の期間で土砂浚渫工事を実施いたしております。
このご指摘を踏まえ、管内の幹線水路一〇九路線全ての土砂堆積調査を昨年十一月に実施し、これに基づき土砂浚渫計画を作成しており、本日ご提案いたします平成二十八年度当初予算の維持管理特別会計に予算計上しております。
次に、「胆沢平野土地改良区再生基本構想」そして、「再生基本構想中長期アクションプログラム」の財政シミュレーションの見通しについてご説明申し上げます。
再生基本構想は、私が理事長に就任した平成十九年に私案をまとめ、平成二十年九月総代会で議決をいただいた長期マスタープランであります。これまでの土地改良区運営の基本的考え方の再構築を目指し、土地改良法第三十六条の経費の負担義務に基づき、土地改良区の事業施行に要する経費と運営に必要な経費は、原則として組合員の義務負担となっておりますことから、「仕事は組合員のために」を基本理念とし、他からの保護や干渉を受けず、独立して執行できる賦課金収入による自主財源を持つ賦課団体と、行政からの事務受託や補助金収入による依存財源を持つ受益団体の二大財源に基づく、財政シミュレーションを運営の羅針盤として平成二十一年度から平成三十年度迄の十カ年計画でスタートしたものであります。
再生基本構想では、施策の改廃や時流の変化を踏まえた検証が必要でありましたことから、前期四年、中期四年、後期二年に分けた検証並びにアクションプランの検討を進めることとしております。
平成二十一年度から平成二十四年度迄の前期四年間は、計画収支はプラス三千四百七十七万八千円に対して実績収支はプラス二億六千四十五万八千円、達成率七四八.九%という高い実績となっております。この主な要因は受動的な職員数の減による人件費一億一千七百八十万円の減が最も大きく、次いで国営造成施設管理体制整備促進事業の事業制度継続による補助金四千七百万円の増、新規ほ場整備地区の増による換地受託料一千八百万円の増、農地水保全管理支払交付金の継続及び制度拡充に伴う事務受託料一千二百万円の増などであります。この前期四年間の検証と胆沢ダムの本格供用開始に伴う農業用水管理の軽減等に対応するため、平成二十四年度に財政シミュレーションを見直し、再生基本構想七つの柱のもとに新たな三つの基本方針を定め、「再生基本構想中長期アクションプログラム」を策定し、平成二十五年三月の通常総代会にて議決をいただき、平成二十五年度よりスタートしております。
再生基本構想中長期アクションプログラムの財政シミュレーションにおいては、業務体制三十五名から三十名となった受動的な減による人件費の見直し、基盤整備事業新規地区の増加見通しによる換地受託料の増、維持管理計画書と農業用水安定供給計画書の作成に伴う農業用排水管理体制の再編を実施し維持管理費などの見直しを行い、当初計画の収支マイナス三億九千四百二十万八千円をマイナス三千七万三千円まで縮減する計画となっております。
平成二十七年度の財政シミュレーションでは、計画収支はマイナス五百六十五万四千円となっておりましたが、平成二十七年度当初予算では計画収支プラス一千八百万円、達成率四一八.三%となる計画で進めております。
現在の見通しでは、平成二十七年度決算の実績収支はプラス四千五百万円を確保できる見込みであり、財政シミュレーションの達成率にして八九五.八%となる見通しとなっております。
この八九五.八%の達成率については、中長期アクションプログラムの財政シミュレーション策定時には無かった、新たな多面的機能支払交付金の農地維持支払交付金制度の拡充と国営造成施設管理体制整備促進事業の事業延長などによる、受動的な収入の増により高い達成率となったものであります。
その内訳としては、多面的機能支払交付金制度拡充による農地維持支払交付金受託料二千八百七十四万五千円の増、国営造成施設管理体制整備促進事業の事業延長による補助金二千七百四十六万七千円の増など、合計で五千八百九十万八千円の増によるものであります。
この制度拡充並びに事業延長がなければ、ほぼ財政シミュレーションどおりの達成率で推移したこととなります。これは受益団体としての受託料等の収入がいかに大きく、この収入財源の確保により胆沢平野版農業クラウドシステムの構築などの新たな取り組みを推進できるものであります。このことは、再生基本構想の着実な推進を図って参った成果であり、改めて総代皆様方のご支援とご協力に感謝申し上げる次第であります。
この健全財政運営を踏まえ、再生基本構想中期の最終年度となる平成二十八年度の重点目標並びに財政見通しについて、ご説明申し上げ皆様方のご理解を賜りたいと考えております。
本年度は、農政新時代としての農業競争力強化の施策にあります、「次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成」を支援する上で、担い手農家の米の生産コストを極限まで削減するための、農地の大区画化、排水対策と水管理の省力化に向けた整備を推進すると共に営農に取り組んでいる組合員の支援として、「基盤整備事業の加速的推進」と「胆沢平野版農業クラウドシステムの取組み」を重点目標として実施して参ります。特にも岩手県の農業農村整備予算は、平成二十八年度では平成二十七年度補正予算二十七億円と合わせ十五ヶ月予算と考えた場合、予算額は百四十一億円、一〇七%の増となっております。この予算に呼応し、農業振興にご尽力を賜っております本日ご臨席の小沢市長様には、しっかりと予算を確保していただき感謝に堪えないところであります。
この方針を踏まえた各課の取り組みについてご説明致します。
一.「TPP対策を踏まえた基盤整備事業の加速的推進」[企画換地課]
これは、受益団体としての重点目標であります。
本年度は、二十地区(基盤整備事業十地区、計画調査事業十地区)を県営事業で取り組む計画としており、県全体の農業農村整備事業予算は、平成二十八年度当初予算と繰越予算合計で前年度当初予算と比較して十三億円の増となる見通しとなっております。このことから、担い手農家の農地集積につなげる大区画基盤整備事業の加速的な推進に取り組んで参ります。
二.「胆沢平野版農業クラウドシステムの本格稼働に向けたモニタリングの実施」
[総務課]
これは賦課団体としての重点目標であります。
本年度は、平成二十九年度の本格実施に向け、組合員並びに特定農業団体等の中から約七十経営体(個人経営体も含む)を対象としたモニタリングを実施し、使いやすいシステムの完成を目指し取り組みを進めて参ります。
モニタリング実施に伴う体制整備として、新たに胆沢平野版農業クラウドシステム推進室を設置し、モニターからの問い合わせや来区された際の相談などを行うと共に、全職員が対応できる態勢としております。
モニタリングの実施と並行して、必要な農業関連情報(通水状況、管内天気、農業機械情報など)を選定し、胆沢平野のホームページを見れば多様な情報を幅広く知ることができるシステムの完成を目指して参ります。
この重点目標のほかに、一般財産の管理において、胆沢ダム完成後、来場者が飛躍的に伸びております円筒分水工「命水の大噴水」のある徳水園駐車場に大型観光バスやバイクなどが駐車できるスペースを確保し、胆沢平野のシンボルであります円筒分水工並びに命水の大噴水を通じ、さらなる胆沢平野の魅力を情報発信するため、徳水園駐車場の拡張整備工事を実施することとしております。
三.「維持管理費の軽減のためのインフラメンテナンス(幹線水路の予防保全)」
[水利整備課]
これは賦課団体としての重点目標であります。
本年度は、維持管理費の軽減のためのインフラメンテナンスに取り組んで参ります。
この取り組みは、農業用水の動脈である幹線水路の目地劣化による漏水及び除塵機等の幹線施設についてきめ細やかな点検調査を実施し、早期に漏水や故障につながる異常の兆候を把握して、軽微なうちに直営でメンテナンスすることにより維持管理費の軽減を図るものです。さらに、目視では分かりにくい除塵機や揚水機などの幹線施設の異常について、振動計や騒音計等の計測器を購入し定期的に検測を行い、早期に異音や異常振動を把握することにより故障の未然防止に取り組み、施設の減価償却に合わせた管理に努めて参ります。
また、これまでも維持管理計画書に基づき幹線施設の日常管理及び造成年度から二十年を基準として計画的修繕に取り組んで参りましたが、過去二年間で突発的な故障が、パイプラインの配水スタンドの電食等による分水管の漏水三箇所、土砂吐管の漏水一箇所、除塵機の減速機モーターの故障一箇所の合計五箇所で発生し、緊急に修繕を行っております。
これらの施設については、造成後十六年から二十年経過しており、十六年を過ぎると急速に老朽化が進むと予測されることから、現在造成されている配水スタンド百二十三基、除塵機二十八基などについても経過年数とともに漏水や故障の増加が見込まれます。
そのため、突発的な故障に備えて、本年度より新たに緊急修繕費三百万円を計上いたします。なお、除塵機の修繕は用排水管理協定に基づき、受益面積割合で地元負担が生じますのでご了承いただきます。
この重点目標のほかに、土砂浚渫については、平成二十七年度から実施しております幹線水路一〇九路線の土砂堆積調査を継続して行い、土砂浚渫費三百万円を計上し、計画的な浚渫を行って参ります。
四.「過年度滞納賦課金の着実な縮減と滞納の未然防止への取り組み」[賦課徴収課]
これは賦課団体としての重点目標であります。
本年度は、現年度賦課金の着実な徴収への取り組みとして、口座振替不納等の納入お願い通知、督促状、催告書の発送、全職員による早期徴収、計画的な訪問徴収の取り組みの継続など着実な収納を行うことで収納率九九.三%を目指し取り組んで参ります。
滞納賦課金の着実な縮減への取組みについては、これまで通り分割納入や理事による訪問催告、経営所得安定対策交付金等の各種交付金の差押えのほか預貯金等の差押、換価、不納欠損処分の滞納処分を実施して参ります。
また、新たな滞納の未然防止への取組みとして、一旦解消してもまた滞納を繰り返す組合員や、高齢で後継者がなく耕作が難しい組合員に対して、農地中間管理機構の活用や担い手農家の情報を提供することで権利移動を促し、営農が安定的に継続されることで新たな滞納発生の防止を図って参ります。
次に財政シミュレーションに対する平成二十八年度予算についてご説明いたします。
本年度の一般会計当初予算六億九千六百一万三千円は、昨年度と比較し百五十一万七千円の増、比率にして〇.二二%の微増であり、ほぼ変動のない予算計上となっております。
これは賦課団体として、土地改良区の健全財政運営の根幹をなす現年度賦課金二億八千六百二十四万六千円を、計画的な訪問徴収などにより着実に徴収することで、財政シミュレーションの収納率九九.〇%を超える九九.三%を目指し取り組んで参ります。また、過年度滞納賦課金については、最も徴収実績の大きい約定に基づく分割納入を着実に実施して参ります。しかしながら、現下の厳しい農業情勢の中で、固定的な滞納者の分割納入の状況は大変厳しいものがあり、生活状況を考慮した徴収を進めていくことについても、ご理解を賜りたいと考えております。
また、国営造成施設管理体制整備促進事業については、平成二十六年度で終了することになっておりましたことから、財政シミュレーションに入れておりませんでしたが、三年間の事業延長となり平成二十九年度まで事業継続となったため、この補助金二千七百万円がプラスとなり維持管理費への充当が可能となっております。
次に受益団体として、平成二十七年度に法制化された多面的機能支払交付金の農地維持支払の事務受託料は、平成二十六年度に制度拡充され財政シミュレーションに含まれていないことから農地維持支払交付金で二千三百万円の増、共同活動の単価変更で六百六十万円の減、長寿命化活動の交付金割当減で百七十万円の減であり、合計では一千四百七十万円の増となっております。
特にも、国営造成施設管理体制整備促進事業補助金の増と多面的機能支払交付金事務受託料の増を合わせ四千百七十万円となっております。この補助金と受託料の収入増により、新たな取り組みとしての胆沢平野版農業クラウドシステムの取り組み並びに徳水園駐車場拡張整備工事で一千三百六十万円、幹線水路の緊急修繕費並びに土砂浚渫費で六百万円を実施するものであり、この収入増四千百七十万円から支出増一千九百六十万円を差し引いた二千二百十万円が平成二十八年度当初予算における財政シミュレーションの計画外収支のプラスの主な要因となっております。
財政シミュレーションでは、平成二十八年度の計画収支はマイナス六百七十八万五千円となっておりましたが、これを解消し当初予算収支ではプラス一千八百万円、合わせて二千四百七十八万五千円を上回る予備費計上が可能となっております。
このことは、再生基本構想中長期アクションプログラムで職員三十名体制となった中で、職員が真摯に業務に取り組んでいる成果であり、これも偏に、総代皆様方のご指導とご協力の賜であり、深く感謝を申し上げる次第であります。
また、東日本大震災から五年が経過し、岩手県では本年を「本格復興完遂年」と位置付けておりますことから、本土地改良区と致しましても、引き続き微力ながら支援に努めて参りたいと考えております。
組合員の皆様方から信頼される土地改良区運営は、七年間にわたる実績を踏まえた胆沢平野土地改良区再生基本構想の着実な推進と賦課金を原資として運営をしております「賦課団体」としての使命をしっかりと果たし、行政からの受託業務を担う「受益団体」として、信頼の高い業務遂行に努め、常に「仕事は組合員のために」を基本理念としタイムリーな土地改良区運営に役職員一同全力を傾け取り組んで参る所存でありますので、総代皆様方の温かいご支援と力強いご協力をお願い申し上げます。
最後になりますが、本日は平成二十八年度一般会計収支予算案、維持管理特別会計収支予算案をはじめ、二十五議案をご提案申し上げております。
詳細につきましては、ご提案の折りご説明申し上げますので、充分なるご審議の上、原案通りご承認賜りますようお願い申し上げ挨拶と致します。